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アメリカの時給はいくら?最低賃金から平均時給まで日本との違いを徹底比較

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アメリカの時給はいくら?最低賃金から平均時給まで日本との違いを徹底解説

「アメリカでは時給3,000円が当たり前って本当?」「日本と比べてどのくらい違うの?」——海外の賃金事情に興味がある人は多いのではないでしょうか。実際にアメリカで働くことを検討している人や、日本との経済格差に疑問を感じている人にとって、リアルな数字を知ることは重要です。

この記事では、アメリカの最低賃金(ミニマムウェイジ)から職種別の平均時給、日本との比較、そして実際の生活費を考慮した「本当の豊かさ」まで、詳しく解説します。

目次

アメリカの最低賃金(ミニマムウェイジ)はいくら?

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アメリカの最低賃金を理解するには、「連邦最低賃金」と「州最低賃金」の2つを知る必要があります。

連邦最低賃金は時給7.25ドル(約1,100円)

アメリカの連邦政府が定める最低賃金は、2009年7月から据え置きで時給7.25ドルです。日本円に換算すると約1,087円(1ドル=150円計算)となり、実は日本の全国平均最低賃金(2024年10月時点で1,055円)とほぼ同水準です。しかし、連邦最低賃金はあくまでも「全国で最低限保障する金額」であり、実際にはほとんどの州がこれを上回る独自の最低賃金を設定しています。

州によって大きく異なる最低賃金

アメリカでは、州法で連邦最低賃金を上回る金額を定めることができます。2025年7月時点で、30州とワシントン特別区が連邦最低賃金(7.25ドル)を上回る最低賃金を設定しています。

【州別最低賃金の例(2025年1月時点)】
・ワシントン州シアトル:20.76ドル(約3,114円)
・カリフォルニア州:16ドル(約2,400円)一般、20ドル(約3,000円)ファストフード
・イリノイ州:15ドル(約2,250円)
・ミズーリ州:13.75ドル(約2,063円)→2026年に15ドルへ
・アラスカ州:11.91ドル(約1,787円)
・連邦最低賃金適用州(テキサスなど):7.25ドル(約1,087円)

最も高い最低賃金を設定しているのは、ワシントン州のタックウィラとレントン(従業員500人以上の企業)で、時給20.29ドル(約3,044円)となっています。

2024年〜2025年の最低賃金引き上げ動向

アメリカでは毎年多くの州が最低賃金を引き上げています。【2024年1月の引き上げ】全米50州のうち22州が2024年1月1日に最低賃金を引き上げました。経済政策研究所(EPI)の試算によると、この引き上げにより約990万人以上の労働者の賃金が上昇し、総額69億5,000万ドル以上の収入増が見込まれました。【2025年1月の引き上げ】2025年1月1日には21州が最低賃金を引き上げました。物価指標に連動する方式を採用している州では、約2.4%の引き上げ率となっています。この引き上げにより、全米で約926万人の労働者の賃金が上昇する見込みです。

職種別・業界別のアメリカの平均時給

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最低賃金だけでなく、実際に支払われている平均時給を見てみましょう。

ファストフード業界の時給

ファストフード業界は、アメリカの賃金事情を象徴する存在として注目されています。【カリフォルニア州のファストフード従業員】2024年4月1日から、カリフォルニア州では全米に60店舗以上を持つファストフードチェーンの従業員に対して、最低時給20ドル(約3,000円)が適用されています。マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、スターバックスなどで働く人々が対象です。この最低賃金で週40時間働くと、年収は41,600ドル(約624万円)になります。日本のファストフード店員の平均年収が約250万円〜300万円程度であることを考えると、2倍以上の差があります。

スターバックスの時給

スターバックスは2024年から従業員の時給を最低3%引き上げると発表しました。

  • 全米平均時給:約18ドル以上(約2,700円)
  • ニューヨーク市のバリスタ:約15ドル〜17ドル(約2,250円〜2,550円)
  • カリフォルニア州:最低20ドル(約3,000円)

日本のスターバックスでは時給1,100円〜1,300円程度が相場のため、アメリカは約2倍の水準となっています。

小売業・サービス業の時給

大手小売チェーンでも高い時給を設定しているところが増えています。

【大手小売チェーンの時給例】
・ウォルマート:時給14ドル〜17ドル(約2,100円〜2,550円)
・ターゲット:時給15ドル〜24ドル(約2,250円〜3,600円)
・アマゾン(倉庫):時給18ドル〜22ドル(約2,700円〜3,300円)
・コストコ:時給17ドル〜29ドル(約2,550円〜4,350円)

アメリカ全体の平均時給

職種を問わないアメリカ全体の平均時給は約31ドル(約4,650円)とされています。日本の平均時給が約1,300円〜1,500円程度であることを考えると、約3倍の差があります。ただし、この数字には高収入の専門職も含まれているため、一般的なサービス業従事者の実感とは乖離があります。

日本とアメリカの時給を比較すると?

日本とアメリカの時給を単純比較すると、アメリカの方が圧倒的に高く見えます。しかし、実態はもう少し複雑です。

最低賃金の比較

  • 日本:全国加重平均1,055円(2024年10月時点)、最高は東京都1,163円
  • アメリカ:連邦最低賃金7.25ドル(約1,087円)、最高はワシントン州シアトル20.76ドル(約3,114円)

連邦最低賃金で見ると日本とアメリカはほぼ同水準ですが、カリフォルニア州やワシントン州などの高賃金州では日本の2〜3倍の最低賃金が設定されています。

平均時給の比較

  • 日本のアルバイト平均時給:約1,100円〜1,300円
  • アメリカの平均時給:約31ドル(約4,650円)

アメリカの平均時給は日本の約3〜4倍ですが、専門職や管理職の高収入が平均を押し上げている面があります。

ファストフード店員の比較

  • 日本のマクドナルド:時給1,000円〜1,200円程度
  • アメリカのマクドナルド(カリフォルニア):時給20ドル(約3,000円)以上

同じファストフード店でも、カリフォルニア州では日本の約2.5〜3倍の時給が支払われています。

時給だけでは分からない!アメリカの物価と生活費

アメリカの高い時給を見て「羨ましい」と思うかもしれませんが、物価や生活費を考慮すると印象が変わります。

アメリカの物価は日本より高い

アメリカの物価は全般的に日本より高く、特に都市部では顕著です。

【アメリカの物価例(日本との比較)】
・パン1斤:4〜5ドル(約600〜750円)→日本は約150〜300円
・卵12個:3.5〜6ドル(約525〜900円)→日本は約200〜350円
・外食ランチ:15〜20ドル(約2,250〜3,000円)→日本は約800〜1,200円
・外食ディナー:30ドル〜(約4,500円〜)→日本は約1,500〜3,000円
・ガソリン1リットル:約240円(カリフォルニア)→日本は約160〜180円

住居費は特に高額

アメリカで最も大きな支出となるのが住居費です。

  • 全米平均家賃:月1,500ドル以上(約22万5,000円以上)
  • サンフランシスコ:月2,500〜4,000ドル(約37万5,000円〜60万円)
  • ニューヨーク:月2,000〜3,500ドル(約30万円〜52万5,000円)
  • ロサンゼルス:月2,000〜3,000ドル(約30万円〜45万円)

日本の東京23区の平均家賃が約10万円〜15万円であることを考えると、アメリカの都市部の家賃は2〜4倍高いことがわかります。

医療費と保険料の負担

アメリカには日本のような国民皆保険制度がないため、医療費は大きな負担となります。

  • 個人の健康保険料:月300〜600ドル(約45,000円〜90,000円)
  • 家族全員分の保険料:月1,000〜2,000ドル(約15万円〜30万円)
  • 救急外来の自己負担:数百ドル〜数千ドル(保険の種類による)
  • 入院費:1日あたり数千ドル(保険の種類による)

会社が保険料の一部を負担してくれる場合もありますが、フルタイムでないパートやアルバイトでは適用されないことが多いです。

実際の生活費を比較すると

日本とアメリカの月間生活費を比較してみましょう。

【月間生活費の比較(一人暮らしの場合)】日本(東京):約25万円〜30万円
・家賃:8万円〜12万円
・食費:4万円〜5万円
・光熱費:1万円〜1.5万円
・通信費:1万円
・交通費:1万円〜1.5万円
・その他:5万円〜10万円

アメリカ(カリフォルニア):約60万円〜100万円
・家賃:25万円〜45万円
・食費:8万円〜12万円
・光熱費:2万円〜3万円
・健康保険:5万円〜10万円
・交通費(車維持費含む):5万円〜8万円
・その他:10万円〜20万円

時給は日本の2〜3倍でも、生活費も2〜3倍以上かかるため、実質的な豊かさはそれほど変わらない場合もあります。

アメリカの専門職・高収入職の時給

一般的なサービス業だけでなく、専門職の時給も見てみましょう。

IT・テック業界の時給

シリコンバレーを中心とするIT業界は、アメリカで最も高い時給が支払われる分野の一つです。

  • ソフトウェアエンジニア:時給50〜100ドル(約7,500円〜15,000円)
  • データサイエンティスト:時給55〜95ドル(約8,250円〜14,250円)
  • プロダクトマネージャー:時給60〜110ドル(約9,000円〜16,500円)
  • UIデザイナー:時給45〜80ドル(約6,750円〜12,000円)

IT業界の新卒でも年収800万円〜1,500万円が珍しくなく、経験を積めば年収3,000万円以上を稼ぐエンジニアも存在します。

医療専門職の時給

医療分野もアメリカで高収入が期待できる業界です。

【医療専門職の時給例】
・看護師(RN):時給35〜55ドル(約5,250円〜8,250円)
・薬剤師:時給55〜70ドル(約8,250円〜10,500円)
・理学療法士:時給40〜55ドル(約6,000円〜8,250円)
・医師:時給100〜300ドル以上(約15,000円〜45,000円以上)

特に看護師は慢性的な人材不足により、高い時給と好待遇が提示されることが多くなっています。

配送・物流業界の時給

近年、配送ドライバーの時給も大幅に上昇しています。UPSやFedExの配送ドライバーは、年収換算で2,000万円を超えることも可能とされています。

  • UPS配送ドライバー:時給40〜50ドル以上(約6,000円〜7,500円以上)
  • トラックドライバー:時給25〜40ドル(約3,750円〜6,000円)
  • Amazonデリバリー:時給20〜25ドル(約3,000円〜3,750円)

アメリカで高時給が実現している背景

なぜアメリカではこれほど高い時給が支払われているのでしょうか。

インフレと物価上昇

アメリカでは近年、急激なインフレが進行しました。2022年には年間インフレ率が8%を超え、生活費が大幅に上昇しました。賃金もこれに追随して上昇せざるを得なくなり、結果的に時給が高くなっています。

労働力不足

コロナ禍以降、アメリカでは深刻な労働力不足が続いています。特にファストフードや小売業などのサービス業では人手が足りず、従業員を確保するために時給を引き上げざるを得ない状況です。

労働運動と政治的圧力

アメリカでは「Fight for $15」(時給15ドルを求める運動)など、最低賃金引き上げを求める労働運動が活発です。特にリベラル色の強いカリフォルニア州やワシントン州では、こうした運動の成果として高い最低賃金が実現しています。

チップ文化

アメリカのレストランやバーでは、チップが収入の大きな部分を占めます。チップを含めた時給換算では、さらに高い収入を得ている従業員も多くいます。一方で、チップが少ない日は収入が大きく減るというリスクもあります。

アメリカ人は本当に豊かなのか?

高い時給を見ると豊かに見えるアメリカですが、実態はどうなのでしょうか。

給料日から給料日への綱渡り生活

2023年の調査によると、アメリカ世帯の約60%が「Paycheck to Paycheck」(給料が入ったら全額支払いに消える)の状態にあるとされています。高収入でも支出が多いため、貯金ができない人が多いのです。

74%がお金のストレスを抱えている

同じ調査では、アメリカ人の約74%が債務に関してストレスを感じており、高所得層の66%でさえ「請求書の支払いに苦労している」と回答しています。

医療費や教育費の負担

アメリカでは医療費と教育費が非常に高額です。病気や怪我で数万ドルの請求書が届くことも珍しくなく、子どもを大学に通わせるには数千万円の費用がかかります。これらの支出が、高収入でも貯金できない原因の一つとなっています。

【アメリカの大学学費の例】
・州立大学(州内居住者):年間約150万円〜250万円
・州立大学(州外居住者):年間約300万円〜450万円
・私立大学:年間約500万円〜800万円
※4年間で総額600万円〜3,200万円以上が必要

アメリカで働くメリット・デメリット

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実際にアメリカで働くことを検討している人のために、メリットとデメリットを整理します。

メリット

1. 名目上の高収入同じ職種でも日本より高い時給を得られる可能性があります。特にIT業界やエンジニア、医療専門職などは日本の2〜5倍の年収を得られることもあります。2. キャリアアップの機会アメリカは実力主義の傾向が強く、成果を出せば年齢や勤続年数に関係なく昇進・昇給のチャンスがあります。3. 多様な働き方の選択肢リモートワークやフレックスタイムなど、柔軟な働き方を導入している企業が多くあります。

デメリット

1. 高い生活費特に都市部では家賃や物価が高く、高収入でも手元に残るお金は限られます。2. 医療費・保険料の負担日本のような国民皆保険がないため、医療費は大きなリスクとなります。3. 雇用の不安定さアメリカは解雇規制が緩く、業績悪化や会社都合で突然解雇されるリスクがあります。4. ビザの問題外国人がアメリカで働くにはビザが必要であり、取得・維持には制約があります。

日本人がアメリカで働くには?

日本人がアメリカで合法的に働くための方法を紹介します。

就労ビザの種類

  • H-1Bビザ:専門職向けのビザ。IT、エンジニア、会計士などが対象。大卒以上の学歴が必要。
  • Lビザ:日本企業の駐在員向け。海外転勤する従業員が対象。
  • Eビザ:投資家・貿易業者向け。日本企業の管理職なども対象。
  • J-1ビザ:インターンシップや研修プログラム向け。期間限定。

グリーンカード(永住権)

グリーンカードを取得すれば、ビザの制約なくアメリカで働くことができます。取得方法には、雇用主のスポンサーシップ、家族の呼び寄せ、抽選(DV Lottery)などがあります。

現実的なアプローチ

最も現実的なのは、日本の企業でキャリアを積んでからアメリカ駐在や転勤を目指すか、アメリカの大学・大学院に留学してから現地就職を目指す方法です。

アメリカの時給に関するよくある質問

Q. アメリカの時給は本当に3,000円以上ですか?

A. カリフォルニア州のファストフード店では最低時給20ドル(約3,000円)が法律で定められています。ただし、これは最も高い部類であり、州によっては連邦最低賃金の7.25ドル(約1,087円)のところもあります。全米平均では時給16〜18ドル程度が一般的です。

Q. アメリカで働けば日本より裕福になれますか?

A. 名目上の収入は増える可能性が高いですが、生活費も大幅に高くなるため、実質的な豊かさは一概に言えません。特に都市部では家賃や医療費が非常に高く、高収入でも貯金が難しい人も多くいます。

Q. チップを含めるとどのくらい稼げますか?

A. レストランのウェイター・ウェイトレスの場合、チップを含めると時給換算で25ドル〜40ドル(約3,750円〜6,000円)以上稼ぐことも可能です。ただし、チップは売上や客の気前に左右されるため、収入が不安定になるデメリットがあります。

Q. なぜ日本の時給は低いままなのですか?

A. 日本では長期間デフレが続き、物価も賃金もほとんど上昇しませんでした。また、企業が内部留保を優先し、賃上げに消極的だったことも要因とされています。近年は最低賃金の引き上げが進んでいますが、アメリカとの差は依然として大きいままです。

Q. ワーキングホリデーでアメリカで働けますか?

A. 残念ながら、アメリカはワーキングホリデー協定を結んでいないため、ワーホリビザでアメリカで働くことはできません。アメリカで働くためには、H-1Bなどの就労ビザやJ-1ビザ(インターンシップ・研修)を取得する必要があります。カナダやオーストラリアなど、ワーホリ協定を結んでいる国であれば、若者が一定期間働きながら滞在することが可能です。

Q. 為替レートが変わると時給の価値も変わりますか?

A. はい、大きく変わります。2022年には1ドル=150円を超える円安が進み、ドル建ての時給は円換算で大幅に高く見えるようになりました。逆に円高になれば、アメリカの時給の円換算額は下がります。ただし、実際に現地で生活する場合はドルで支払いをするため、為替レートの影響は限定的です。

世界各国の時給との比較

アメリカだけでなく、他の先進国の時給とも比較してみましょう。

先進国の最低賃金比較(2024年時点)

【各国の最低賃金(日本円換算)】
・オーストラリア:約2,300円
・イギリス:約1,900円
・フランス:約1,850円
・ドイツ:約1,800円
・カナダ:約1,700円〜2,000円(州による)
・韓国:約1,200円
・日本:約1,055円(全国平均)
・アメリカ:約1,087円(連邦)〜約3,100円(高賃金州)

オーストラリアやヨーロッパ諸国も高い最低賃金を設定していますが、アメリカの高賃金州ほどではありません。ただし、これらの国々は医療保険や社会保障が充実しているため、手元に残るお金という観点では異なる結論になることもあります。

購買力平価で見た実質的な豊かさ

名目上の時給だけでなく、購買力平価(PPP)で比較すると、各国の実質的な豊かさが見えてきます。購買力平価とは、同じ商品やサービスを購入するのに必要な各国通貨の金額を比較する指標です。日本は物価が相対的に安いため、購買力平価で調整すると、名目上の賃金差ほど生活水準の差は大きくないとも言われています。ただし、近年の円安と日本の賃金停滞により、この差は広がりつつあります。

まとめ:アメリカの時給は高いが、生活費も高い

アメリカの時給は日本と比べて確かに高く、特にカリフォルニア州やワシントン州などでは最低賃金でも時給3,000円を超えています。しかし、物価や生活費も同様に高く、特に住居費と医療費は大きな負担となります。

【この記事のまとめ】
・アメリカの連邦最低賃金は7.25ドル(約1,087円)で日本とほぼ同水準
・カリフォルニア州などでは最低時給20ドル(約3,000円)以上
・全米平均時給は約31ドル(約4,650円)で日本の約3倍
・しかし物価・生活費も日本の2〜3倍以上かかる
・医療費や住居費が高く、高収入でも貯金できない人も多い
・時給の数字だけで豊かさは測れない

数字の上ではアメリカの方が圧倒的に高い時給を得られますが、実際の生活の質を考えると、単純に「アメリカの方が豊か」とは言えません。大切なのは、自分のライフスタイルや価値観に合った場所で働くことではないでしょうか。アメリカで働くことを検討している方は、時給だけでなく、生活費、医療費、税金、雇用の安定性など、総合的に判断することをおすすめします。

アメリカの時給上昇がもたらす影響

最低賃金の引き上げは、さまざまな影響をもたらしています。

企業側の対応

最低賃金の上昇に対して、企業は以下のような対応を取っています。

  • 価格への転嫁:カリフォルニア州のファストフード最低賃金が20ドルになった後、マクドナルドのビッグマックセットは約18ドル(約2,700円)に値上げされました。
  • 自動化の推進:セルフオーダーキオスクの導入や、調理工程の自動化を進める店舗が増加しています。
  • 営業時間の短縮:人件費削減のため、24時間営業をやめる店舗も増えています。
  • 従業員数の削減:同じ仕事を少ない人数でこなすよう効率化を図る企業もあります。

労働者への影響

時給が上がることで労働者にとってのメリットは明らかですが、一方でデメリットも生じています。

【最低賃金上昇の両面】メリット
・単純に収入が増える
・生活の安定につながる
・消費が活性化する

デメリット
・シフトを減らされる可能性
・雇用機会の減少
・価格上昇で実質的な収入増加が限定的
・中小企業の経営圧迫

経済全体への影響

最低賃金の上昇は、経済全体にも波及効果をもたらします。低所得層の可処分所得が増えることで消費が活性化する一方、インフレを加速させる要因にもなり得ます。アメリカでは、最低賃金政策をめぐって常に政治的な議論が続いています。

日本の賃金は今後上がるのか?

アメリカの高時給を見て、日本の賃金事情が気になる人も多いでしょう。

日本の最低賃金引き上げの動き

日本でも最低賃金は毎年引き上げられており、2024年10月には全国加重平均で1,055円となりました。政府は2030年代半ばまでに全国平均1,500円を目指すとしており、賃上げの流れは続く見通しです。

日本とアメリカの賃金上昇ペースの違い

  • 日本:年間約3〜5%程度の引き上げペース
  • アメリカ:州によっては年間5〜10%以上の引き上げも

日本の賃金上昇ペースは緩やかですが、着実に上がっています。ただし、物価上昇に賃金上昇が追いついていないという問題は日本でも指摘されています。

日本で高時給を得る方法

日本でも高い時給を得る方法はあります。

【日本で高時給のバイト・仕事の例】
・深夜帯のコンビニ・飲食店:時給1,300円〜1,500円以上
・塾講師・家庭教師:時給1,500円〜3,000円
・イベントスタッフ:時給1,200円〜1,800円
・医療系(看護助手など):時給1,400円〜1,800円
・コールセンター:時給1,300円〜1,600円
・ITエンジニア(派遣):時給2,500円〜4,000円以上

アメリカ時給の将来予測

今後、アメリカの時給はどのように変化していくのでしょうか。

連邦最低賃金引き上げの議論

2009年から据え置きとなっている連邦最低賃金7.25ドルについて、引き上げを求める声は根強くあります。15ドルへの引き上げを目指す法案が過去に提出されましたが、議会で否決されています。ただし、州レベルでの引き上げは継続しており、実質的に連邦最低賃金の意味が薄れているという指摘もあります。

2026年以降の見通し

すでに段階的な引き上げを決定している州も多く、例えばニュージャージー州やイリノイ州は2026年までに時給15ドルへの引き上げを予定しています。カリフォルニア州のファストフード産業では、2025年に時給20ドルを達成しましたが、さらなる引き上げを求める声も上がっています。

自動化との競争

時給が上がり続ける一方で、AIや自動化技術の進歩により、一部の仕事が機械に置き換えられる可能性も高まっています。特にファストフード業界では、すでに注文システムの自動化が進んでおり、今後はさらに加速する見込みです。

おわりに:時給だけでは測れない「働く価値」

この記事では、アメリカの時給について詳しく解説してきました。数字だけを見れば、アメリカの時給は確かに魅力的です。カリフォルニア州でファストフード店員として働けば、時給3,000円以上を得られます。しかし、時給の高さだけで働く国や仕事を選ぶのは危険です。生活費、医療費、雇用の安定性、家族や友人との距離、言語の壁、文化の違いなど、考慮すべき要素は数多くあります。

大切なのは、自分にとっての「豊かさ」とは何かを考えることです。時給が高くてもストレスだらけの生活と、時給は低くても充実した毎日。どちらが本当に豊かなのかは、人それぞれ違うはずです。

アメリカの時給事情を知ることで、日本の賃金や働き方を客観的に見つめ直すきっかけになれば幸いです。海外で働くことを検討している方も、日本で働き続ける方も、この記事が参考になれば嬉しく思います。最後に、アメリカの時給が高いという事実は、単に「アメリカが豊か」ということを意味するわけではありません。その背景には、インフレ、労働力不足、生活費の高騰など、複雑な経済事情があります。数字の裏にある現実を理解した上で、自分のキャリアや働き方を考えることが大切です。

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この記事を書いた人

バイトも社員も経験してきた、個人店からチェーン店まで様々な飲食店で働いてきました。
働く人のモヤモヤも「あるある」で笑い飛ばしながら、ちょっと前向きになれる言葉を届けたい。
ひるピーは、いつでもあなたの味方です。

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